1: ID:Q2N
部長「両津のバカはどこだ!!!!!!!!!(派出所吹き飛ぶ)」
両津「うわっ!?」
両津「ぶ、部長、いきなりオチですか???」
部長「わけのわからんこと言うんじゃない!」
部長「駅前で体にスマホをくくりつけて走ってたらしいな…制服を着たまま…」
両津「うっ」
2: ID:Q2N
両津「そ、それはその、ポケモンGOというゲームがあってですね…」
部長「そのぐらい知っておる! タマゴをかえすために走る必要があるんだろう!」
両津「そ、そうなんです、それで佃島のほうの親戚に頼まれまして…」
部長「小学生から金を取って走っていたんだろうが!!! ネタはあがっているぞ!!」
両津「ぶ、部長、襟首が締まって苦しいっ」
中川「さいきん流行ってますからね、ポケモンGO…」
部長「まったく、こいつのせいで葛飾署に依頼の問い合わせが来たんだぞ、
ただでさえトラブルが相次いでるのに」
6: ID:hmW
両さんなら沖縄まで行きそう
3: ID:Q2N
両津「げほ、げほ、じゃあ制服は脱いでやりますよ」
部長「だめだ! お前はポケモンGO全面禁止だ!!」
両津「ひょわ!? 部長! それは殺生な!! せめて子供たちが夏休みの間だけでも!」
部長「だめだ! すべて禁止だ!」
部長「いいか、ポケモンGOに関係する商売も全面禁止だぞ、
見つけたら懲戒免職だからな(送迎のパトカーに乗り込む)」
両津「行ってしまった…」
両津「まいったなちくしょう、この夏は稼ぎまくる予定だったのに」
中川「仕方ありませんね…、今は警視庁もピリピリしてる時期ですから」
4: ID:Q2N
両津「歩きスマホやら、運転中にポケモンやってての事故やらで何百件も検挙されてるんだったか、
引ったくりなんかも起きてるし、まったく日本人のモラルはどうなってるんだ」
中川「先輩も思い切り乗っかってますけどね…」
寺井「おはよう」
両津「おう、寺井か」
寺井「いま部長が来てたみたいだけど…」
両津「ちょっとな」
両津「……お前、なんか痩せたんじゃないか?」
寺井「ちょっと欲しいものがあって…」
寺井「ほらこれ、外国製のキャンピングセットが欲しいんだよ、家族でキャンプに行こうかと」
両津「また買うつもりなのか…」
注・寺井の名前は現在「丸井ヤング館」ですが、このSSでは寺井で通します
5: ID:Q2N
両津「どれどれ、ドイツ製か、フルセットで30万…」
寺井「予算的に厳しくて…だから毎日の食費も削って貯めてるんだよ」
両津「お前、そういうのは道具より腕だぞ、まずテントの組み立て方を練習しろよ」
寺井「ほ、放っといてくれよ」
両津「まあ勝手にやってくれ」
両津「それにしても、ポケモンGOがここまでブームになるとは想像してなかったな」
中川「そうですね、アメリカなどで先行配信した時から異常な人気でしたが、日本でも更に…」
両津「ダウンロード数が世界で8000万だったか。街中でもみんなやってるからな」
8: ID:GGp
おっ、期待
7: ID:Q2N
中川「深夜の公園にも若者がたくさん集まってますね」
両津「最初は夏祭りかと思ったぞ」
両津「それにレアなポケモンが出たと聞くと、みんなそこに殺到するからな、
ツチノコのブームを思い出す」
中川「そ、そうですね…」
中川「アメリカでは、ダイエットに一役買うとか言われてるそうです」
両津「なにせポケモンの卵をかえすのが大変だからな、10キロの卵がかなり重要だし」
10: ID:Q2N
両津「ものぐさな奴はニワトリやドローンにスマホを乗せたり、金を払って走ってもらうやつも
いるらしいからな、わしもそれで稼ごうと思ったのに」
中川「そうでしたね、アメリカの方でも代行業が行われているとか…」
寺井「…………」
寺井「あの、両さん、それっていくらぐらい貰えるの?」
両津「ん?」
両津「そうだな、アメリカでPOKEWALKとかいう代行屋が出た時は、2キロで10ドル、
5キロで15ドル、10キロで20ドルだったぞ」
寺井「2000円ぐらい…けっこう高いね」
11: ID:Q2N
両津「しかも同時に何十個も受け付けてれば、その数だけ倍になるからな」
寺井「なるほど…(ゴクリ)」
寺井「ち、ちなみに、この辺りでその商売やるならどこがいいかな」
両津「そうだな、ピカチュウがよく出る新宿御苑とか、ミニリュウが出る世田谷公園とかが人気だが、
亀有運動公園もなかなか美味しい」
寺井「ふむふむ…」
両津「ん? 寺井もやるつもりなのか?」
寺井「いや全然!! ちょっと興味があるだけ!」
中川「先輩、お昼は何を食べますか」
両津「おう、じゃあ今日もカレーで…」
寺井「……」
12: ID:Q2N
※
寺井「ここが亀有運動公園か…」
寺井「すごい人だ…この暑さなのに」
寺井「しかもみんなスマホ見て歩いてる…なんか不気味だ…」
寺井「おや、あそこに体育会系っぽい人が…」
寺井「法被を着て鉢巻き巻いてる…、下はフンドシだし、なんか怖いな…」
男「さあいらっしゃい! 10キロ500円だよ!」
寺井「あの、もしかしてポケモンの…」
男「いらっしゃい!!」
寺井「うわっ!?」
13: ID:Q2N
男「2キロは200円、5キロは300円、10キロは500円だよ!」
寺井「いや、すいません、僕もそれやろうかと」
男「なんだ、同業者かい」
男「まあいいや、商売やるならここで集客するルールだよ」
寺井「は、はあ…」
寺井「あの、なんでお祭りみたいな格好を?」
男「ただのアピールだよ、この公園だけで同業者が10人いて、競争が激しいからね」
寺井「そんなに…」
14: ID:Q2N
寺井「そ、それより、10キロは2000円じゃなかったんですか?」
男「それはニューヨークあたりの相場だね、日本は子供のユーザーが多いから
相場が安くなるんだよ、ここは下町だしね」
男「いまは浜離宮が一番高いんじゃないかな、ここよりずっと競争が激しいけどね」
寺井「そうなんですか…」
男「おたく走るコースは分かるの?」
寺井「えっ?」
男「10キロちょうどでここに戻ってこないとムダでしょ、
この場所から北側のトイレまで走って、東側でタコ焼きの屋台の外側を通って、
南側で黄色いベンチの外を回って戻れば1キロ弱になってキリがいいよ」
寺井「な、なるほど」
15: ID:Q2N
男「ポケモンGOのGPSは曲線の動きは検知しにくいからね、
なるべくまっすぐ走ること、あと時速10キロを越えると無効になるから、
1キロのコースなら一周6分10秒を意識してね、わかるよね」
寺井「は、はい、なんとなく」
男「(ピピッ)おっと、11時台のスタート時刻だ、じゃあ頑張って」
寺井「はい、どうも……」
寺井「……も、もうプロがいるとは…」
子供「おじさん、ポケモンの代行やってるの?」
寺井「え…、あ、うん、やってるよ」
子供「じゃあ10キロお願い、はい500円」
寺井「ようし、初仕事だ、やるぞ」
寺井「それっ」
16: ID:Q2N
※
寺井「ぜはっ、ぜひ、ひゅっ、げほ、ぜい、ぜい…」
子供「おじさん大丈夫? まだ4周目だよ」
寺井「な、なんの、まだまだ…」
※
寺井「ぜ……ぜげぼおっ…、……ごほおっ、……ぜ、ぜひっ……
し、死ぬへぜふぉおっ……」
子供「おじさんもういいよ、あとは自分で歩くから…」
寺井「い、いや、引き受けた、からには……」
17: ID:Q2N
※
両津「寺井、また痩せたような気がするが……」
寺井「ちょ、ちょっとね…(ヨロヨロ)」
寺井「ち、ちなみに両さん」
両津「ん? なんだ?」
寺井「その…走る以外で、ポケモンGO絡みで儲けるとしたら、何があるかな」
両津「そうだな、屋台を出すとか」
寺井「なるべく技術がいらないやつを…」
両津「? じゃあみんなバッテリー切れに悩んでるから、
モバイルバッテリーを持って行って充電させるって手もあるな」
中川「世田谷公園でそういう商売が生まれたそうですね、10分100円とか…」
18: ID:Q2N
両津「初期投資がけっこうかかるがな」
寺井「うーん…他には?」
両津「ポケモンGOは遊んでるとスマホが熱くなってくるからな、
保冷剤を売るなんていいんじゃないか」
寺井「なるほど……」
※
寺井「ふう、今日も暑い…」
寺井「うちにクーラーボックスがあってよかったけど、重かったなあ」
19: ID:Q2N
寺井「と、ここらへんでいいか」
女性「おじさん、それ保冷剤売ってるの?」
寺井「おや、もうお客さんが」
寺井「はい、売ってるよ」
女性「ちょうだい、いくら?」
寺井「ええと…確か300個入りで3000円ぐらいだったはず……」
寺井「じゃあ、ええと、一個20円で…(ゴクリ)」
女性「わあ安い、じゃあ一つもらうね」
20: ID:Q2N
寺井「はは、まいど」
寺井「いやあ、仕入れ値の倍で売れちゃったよ、もうかったなあ(ドキドキ)」
両津「た わ け!!!!!!!!!」
寺井「うわっ!? りょ、両さん???」
両津「やはり非番にこんな商売してたか」
寺井「そ、そうなんだよ、儲かるって聞いたから」
両津「こんな値段で売ってるんじゃなーーーーーい!!」 ドカッ(ボックスを蹴飛ばす)
寺井「ひいっ」
21: ID:Q2N
中川「先輩、乱暴はやめてください(汗)」
両津「こういう素人感覚の商売を見てるとイライラする…」
寺井「ど、どうしたらいいんだい?」
両津「今日の気温ならこんなもの100円でも売れる」
寺井「えっ」
両津「だいたい、3000円で仕入れたんなら、全部売ったとして6000円だろ、
3000円しか儲からん。コンビニでバイトでもしたほうがマシだ」
寺井「う、そ、そういえば…」
22: ID:Q2N
両津「しょうがない、わしがこの場所を教えたようなもんだし、少しレクチャーしてやる」
両津「だいたいクーラーボックス一つだけってのがせせこましいぞ。
もっと飲み物とかも売れ」
寺井「飲み物ならそこに自販機があるし…」
両津「ペットボトルのお茶が150円もするぞ、しかもこの暑さだからほとんど売り切れてる」
両津「お茶なんか業務用スーパーで仕入れれば、最安値で60円ぐらいだ、
100円で売ったとしても40円の純益だぞ、ものすごくおいしい」
寺井「そ、そうなの…?」
23: ID:Q2N
両津「中川、他にもいろいろあるよな」
中川「そうですね、制汗スプレーですとか、
ウェットティッシュなんかも需要があるようです」
両津「本当はかき氷の屋台とかが一番おいしいが、どうせ寺井にはムリだから仕方ない。
わしがいろいろ教えてやる。報酬も売り上げの2割にまけといてやるからな(肩ポン)」
寺井「う、うん」
中川「結局それが目的のような気がする…」
両津「いいか、まず警官には気をつけろ、わしらが警官に見つかったらシャレにならん。
所轄の人間にそれとなくパトロールの時間を聞いとけ。
誰かが自分を通報してないか常に気をつけるんだぞ」
寺井「わ、わかったよ」
中川「いきなり凄いアドバイスだ…」
24: ID:Q2N
※
そして両さんのアドバイスを受け、寺井巡査は各地の公園を巡り、
あるときは走り、ある時は物を売り、
なんとか目標の金額を貯めたのであった。
25: ID:Q2N
※
寺井「いやあ、夏休みのうちにキャンプに行けてよかったな!!(ガタゴト)」
妻「そうね、でもこんな山奥で大丈夫なの?」
寺井「両さんから聞いた穴場があるんだよ、
車もボルボ巡査に借りた4WDだから大丈夫」
息子A「ねえパパ、ここポケストップないよ」
息子B「ポケモンもラッタしか出てこない…」
寺井「なんだ、こんな山奥でもポケモンGOか?」
妻「あなたたち、ゲームじゃなくて景色を見なきゃだめよ」
寺井「ははは、いや、やってていいぞ!
そのゲームのおかげでキャンピングセットが買えたんだからな!!」
息子A「パパ、なんかテンション高いね…」
26: ID:Q2N
息子B「ん、パパ、向こうの方にポケストップがあるよ」
寺井「なに? あの建物か…うーん、フェンスがあるな…」
息子B「もうモンスターボールがなくて…」
寺井「よし、パパが行ってきてやる、確か非常用の手斧があったな」
妻「あなた、フェンスを破る気?」
寺井「心配するな、あとで直しとけば大丈夫、すぐに戻るよ(ガチャッ)」
27: ID:Q2N
※
『8月○日14時頃、現役の警察官が原子力発電所のフェンスを破り、
内部に侵入する事件がありました』
『犯人は手斧を所持しており、器物破損の現行犯で逮捕されています』
『本人はポケモンGOをプレイしていたと主張していますが、
警視庁ではテロの疑いもあると見て……』
部長「両津、おまえ寺井に何かアドバイスしてたらしいな、何を言った…?(プルプル)」
両津「ご、誤解です部長! 私は何も言ってません! 本当です!!(汗だく)」
中川「流行が大きすぎると、いろんな人が巻き込まれてしまうな…」
(おしまい)
33: ID:Psf
冷却材は確かに欲しいな
29: ID:3za
案外部長がはまりそう
32: ID:AxQ
>>29
デマに騙されてひどい目に合いそう
35: ID:mms
もっと屋台とかで賑わうかと思ってたら、実際はそうなってないよね、不思議
36: ID:Xx1
本家だと部長が息子に頼まれて、それを両津に頼むんだろうな
28: ID:Psf
そのうち原作でもやりそう
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